「人生の勝算」感想 SHOWROOM社長の1/4世紀

プライムリーディングで無料だった人生の勝算を読んでみた

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

 

 

内容としてはライブストリーミングアプリSHOWROOMを作った男、前田裕二がいかにして自分の 価値観や哲学を得て起業 するに至ったかを 書いたものである

路上でのギター弾きや身内の死 それらを乗り越え自信が何を考え、どう行動し これから何を作るかを 熱く読者に語りかけ 同時代を生きる成功者の 自伝として楽しく読ませてもらえる一冊であった。

これから起業を考えてる人にとっては 熱意をわけてもらえ 背中を押してもらえる一冊となること安請け合いである

 

 

しかし 思うところが全くなかったかといわれるとそうでもなかった

まず著者は その若さゆえか(とはいえ私のほうがなんぼか若いのに) 自身の失敗を見せることにためらいがあるように感じた

 

本書の前半にある 著者のストリートミュージシャン時代の話は 成功するまでの具体的な方法論や 自分の企みがうまくいった時の感動などを赤裸々に語っているのに対し、 本書の後半にある チームをうまくまとめられなかった時の対処法などは なぜか具体的には書かず なんやかんやうまくいったと 深夜ドラマの堂本剛ばりの雑な締め括りで話を終えていた

 

基本的にほとんどの人にとっては 他人の成功談よりも 失敗談の方が 愉快である

ただ愉快なだけでなく ビジネス書としては その人が失敗して その失敗に対してどう対処したかの方が 生活上 役に立つことが多い

自伝として考えても その人の失敗談をしっかりと描くことで 作品として深みが出るし 物語として面白くなる

せっかくこの著者は 波乱万丈の 密度の濃い 人生を送っているのに この失敗の掘り下げ方では ツッコミの弱い漫才のようなものである

あるいは主人公が さしたる苦労もせずに 全てを手に入れる 出来の悪いなろう小説のようなものである

 

とはいえ 本書を読めば 現代ではなかなか珍しい尋常ではない努力をしている著者のことを 嫌いになる人はいないであろう

調べてみるとまだ30歳のようなので アランチューリングのようにとまではいかないが 矢沢永吉のように 失敗したことも含め かっこいい生き様を 見せ続けてくれればなあと (無責任に)考えずにはいられなかった。